レクサプロってどんな薬?

国内で4番目に承認されたSSRI(セロトニン再取込阻害薬)です。

適用は主にうつ病、うつ状態、社会不安障害などの治療薬としてです。

(SSRIとは?)

うつ病や不安障害などの気分障害に見受けられる特徴的な症状は

  • 憂鬱な気分
  • 不安感が大きい
  • 悲観的になる
  • 易疲労感(疲れやすくなる)
  • 集中力の低下
  • 不眠傾向

などになります。

こうした気分障害を起こす原因として「セロトニン」という物質のバランス異常が指摘されています。

セロトニンは「気分」を左右する神経伝達物質です。

セロトニンが適切に分泌されている状態なら

  • 睡眠の質を上げる
  • 精神的に落ち着く
  • リラックスできる

など、非常に有益な精神安定効果をもたらすとても重要な物質なのですが、何らかの原因で不足すると上記のようなうつ状態を引き起こします。

SSRI(セロトニン再取込阻害薬)とは脳内のセロトニンを再び受け取り他の場所へと届けようとするセロトニトランスポーターの働きを阻害することで脳内神経路のセロトニン量を安定させ、うつ状態を緩和するという目的で処方される薬です。

したがってうつ病や不安神経症などの気分障害をともなう精神疾患の治療時には中心的な役割を果たす薬だといえるでしょう。

レクサプロは2011年にうつ病や不安障害の治療薬として厚生労働大臣から許認可された一番新しいSSIRです。

従来の抗うつ剤では副作用が強く出るというデメリットがあったのですが、この薬は副作用が大きく改善され、セロトニントランスポーターだけを選んでより確実に作用するので、精神科以外の診療科でも処方しやすいとして大きな注目を集めています。

とりわけ心臓や消化器、代謝系、免疫系はストレスによる悪影響を受けやすく、日本人のおよそ4割は何らかのうつ状態を抱えていると言われているので、レクサプロのような副作用が少なく効果の高い薬は取り扱いやすいということで重用されています。

また、レクサプロは血中濃度の半減期が長く、薬の効き目が長いので1日1回1錠の服用で十分な効果が得られ、患者への負担も少ないというメリットがあります。

レクサプロの作用について

レクサプロの主成分である「エスシタロプラム シュウ酸塩」はセロトニン受容体を選択して作用する能力が高いため、副作用は従来のSSRIよりも少ないとされています。

薬学的にはセロトニンを取り込むセロトニントランスポーターの働きを阻害し、脳内シナプス(神経伝達物質)のセロトニン濃度を安定させることでうつ状態などの気分障害を伴う精神疾患の諸症状を緩和させるという作用があります。

(セロトニンについて)

セロトニンは気分を落ち着かせリラクゼーションをもたらす抗ストレス物質として知られていますが、働きはそれだけではありません。

気分調整機能以外のセロトニンの働きには次のようなものが挙げられます

  • 痛覚の抑制:セロトニンが不足するとちょっとしたことで疼痛や繊維筋痛症など原因不明の痛みを感じるようになります。
  • 記憶力や学習能力のコントロール:セロトニンは海馬と呼ばれる記憶を司る脳の器官に作用し、記憶力をや学習能力を向上させます。

それゆえに近年の研究では認知症予防には脳内のセロトニンの量を増やすか減らさないようにすることが重要だと言われています。

  • 運動機能の向上:セロトニンは運動機能にも関与していて、生きる上で必要な基本的な動作(噛む、呼吸する、歩くといった反復運動)をスムーズにする作用があります。

また、運動ニューロンを通じて体幹部の姿勢筋や抗重力筋に作用して姿勢を良くしたり表情を豊かにするなどの作用があるとも考えられています。

このように精神を落ち着ける以外にも様々な働きがあるのがセロトニンです。

したがっていろいろなところでセロトニンは消費されていきます。

セロトニンをいろいろな部位に届ける役割を果たしているのが“セロトニントランスポーター”です。

SSRIはセロトニントランスポーターの働きを阻害する薬なので、脳内シナプスで使われるセロトニンの量を安定させることが容易となるのです。

セロトニンは年齢やストレスによって消費量が増え、相対的に全体量が減っていくことがわかっています。

レクサプロはセロトニンを増やす作用はないので、服薬とともにセロトニンを増やすための生活習慣の改善が必要となってきます。

(セロトニンを増やすために)

  • 食生活の改善:セロトニンは人体内で合成される物質ですが、栄養が不足すると産生量が落ち込みます。

セロトニンの合成時に必要な栄養素は

  • トリプトファン(必須アミノ酸)
  • ビタミンB6
  • 糖質

と言われています。

肉類や魚介類などの動物性たんぱく質にはトリプトファンやビタミンB6が豊富に含まれているので3食きちんと栄養バランスの取れた食事をするよう心がけましょう。

  • 運動習慣を身につける:運動するとセロトニンが活性化し、産出量も増えることがわかっています。

また日光を浴びることもセロトニンの合成には重要なので散歩など軽めの運動習慣をつけるよう心がけましょう。

副作用について

比較的副作用の少ない治療薬ですが、医薬品なので副作用がないということはありません。

では以下にレクサプロの処方で報告されている一般的な副作用と重い副作用を上げていきたいと思います。

(一般的な副作用)

  • 吐き気、食思不振
  • 口の渇き
  • 下痢、腹痛、嘔吐
  • 不安感、不定愁訴(イライラする)
  • 不眠傾向
  • 動悸、不整脈
  • 排尿障害、性機能異常
  • 発疹
  • 出血傾向

(重い副作用)*滅多にないものの、発生すると重症化しやすい副作用

  • セロトニン症候群:落ち着かなくなる、不安感の増大、興奮、錯乱、不眠、体の震え、ぴくつき、めまい、発熱、発汗、頻脈、下痢、血圧上昇などの症状が複合的に起こる病状
  • けいれん、昏睡
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(STADH):倦怠感、不整脈、胸痛、めまい、立ちくらみ、失神

上記のような副作用が現れた場合はただちに薬の服用をやめて処方医に相談するようにしてください。

禁忌について

以下のような病状の既往がある人またはその疑いがある人には処方できません。

  • レクサプロにアレルギーのある人
  • 先天性QT延長症候群(心臓疾患)などQT延長(不整脈の一種)のある人

*QTとは心電図の波形の一種です。

(慎重な投与を要する場合:低用量からスタートすべき身体状態)

  • 心臓病、不整脈のある人
  • 肝臓病の人
  • 低カリウム血症
  • 重い腎臓病患者
  • 総合失調症の素因がある人
  • 脳の器質的障害を持つ人(脳梗塞術後、脳出血後遺症、アルツハイマー型認知症など)
  • てんかん患者
  • 躁ううつ病、躁病の既往がある人(躁状態を助長する可能性があるため)
  • 子供
  • 妊婦または授乳中の女性
  • 高齢者
  • 自殺願望者

など。

(飲み合わせ、食べ合わせについて)

  • パーキンソン病治療時に処方されるセレギリン(薬品名:エフピー)との併用は禁止されています。

この飲み合わせでは両方の作用が強まり、「セロトニン症候群」と呼ばれる重篤な副作用をもたらす危険性が高いからです。

  • 安定剤のピモジド(薬品名:オーラップ)との併用も禁止です。

理由は危険な不整脈を誘発するリスクがあるからです。

  • セロトニン症候群のリスクを高めることから以下の薬剤や食品との併用も禁止されています。

トリプタン系頭痛薬(薬品名:イミグランなど)
L−トリプトファン含有製剤(アミノ酸製剤、経腸成分栄養剤など)
トラマドール(薬品名:トラマール)
リネゾリド(薬品名:ザイボックス)
炭酸リチウム(薬品名:リーマス)
セイヨウオトギリソウ(製品名:セントジョーンズワート)

  • レクサプロの血中濃度を上昇させる薬として以下のものが報告されています。

もし、併用する場合はレクサプロの量を減らすようにします。

タガメット
オメプラール、オメプラゾン
タケプロン
パナルジン

このように飲み合わせに注意が必要な薬がたくさんあるので、処方を受ける際には必ず薬剤情報か薬の手帳を持参するようにします。

入手方法

医療用医薬品なので原則としては医療機関を受診して、うつ病や社会不安障害の確定診断を受けた上で処方箋を出してもらい、調剤薬局経由で購入するという流れになります。

比較的副作用が少なく、効果も高いので精神科以外の診療科でも処方しやすい薬ですので、ストレスや寝不足が慢性化している場合には主治医と相談してみると良いでしょう。

また。

中には個人輸入を使って薬を購入するのを希望する人もいるかと思いますが、飲み合わせに注意しなければならない薬が多いのでできれば医療機関経由の正規ルートで入手するか医師に相談した上で服用可能と判断された場合に限定的に購入することをお勧めします。